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税金は、知っている人だけが取り戻している

家づくりのお金 vol.3 ── 取り戻す

税金は、知っている人だけが取り戻している

家計を守るいちばん確実な方法は、払いすぎた税金を取り戻すことです。会社員でも、受けられる控除はたくさんあります。最終回は、使える控除と、家を建てたあとに戻ってくる住宅ローン控除のお話です。

1. 書類を出すだけで受けられる控除(年末調整)

会社に書類を提出するだけで適用される控除が、いくつもあります。所得2,500万円以下のほぼすべての人が対象の基礎控除、家族を養っている場合の配偶者控除・扶養控除、天引きされる健康保険料や厚生年金保険料の全額が対象になる社会保険料控除、民間の保険に入っている場合の生命保険料控除・地震保険料控除。iDeCoの掛金は、小規模企業共済等掛金控除として全額が対象です。住宅ローン控除も、2年目以降は年末調整で手続きできます(初年度のみ確定申告が必要です)。

2. 自分で動けば、もっと戻る(確定申告)

次の項目は、自分で確定申告をすることで税金が戻ってきます。年間の医療費や特定の市販薬の購入額が基準を超えたときの医療費控除・セルフメディケーション税制。自己負担2,000円を除いた分が対象になり、返礼品も受け取れるふるさと納税(寄附金控除)。「ワンストップ特例制度」を使えば、確定申告もいりません。さらに、通勤費や資格取得費、仕事に必要な書籍代などが一定額を超えたときの特定支出控除もあります。

3. 払い方を整えて、取りこぼさない

日々の支払いを、ひとつの経済圏にまとめるのも有効です。たとえば同じグループのクレジットカード・銀行・証券会社に支払いや積立を集約すると、ポイントが効率よく貯まります。貯まったポイントを支払いに充てれば、実質的な負担はさらに軽くなります。あわせて、保険料や通信費といった固定費を一度見直す。こうした小さな積み重ねが、そのまま頭金にまわせるお金になります。

4. そして、建てたあとに戻ってくる「住宅ローン控除」

これから家を建てる方にとって、いちばん大きいのが住宅ローン控除です。住宅ローンを利用してマイホームを取得すると、年末のローン残高の0.7%が、所得税(引ききれない分は一定額まで翌年の住民税)から、最大13年間にわたって戻ってきます。知っているかどうかで、手元に残るお金は大きく変わります。

ひとつだけ、大切な前提があります。2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅は、原則として省エネ基準を満たしていないと、この控除を受けられません(2025年4月以降は、すべての新築住宅で省エネ基準への適合が義務になりました)。そして、戻る額の上限となる借入限度額は、住宅の性能が高いほど大きくなり、子育て世帯・若者夫婦世帯にはさらに上乗せがあります。

ただし、その対象になる借入額(借入限度額)は、年々小さくなっています。たとえば省エネ基準適合住宅は、2025年入居の4,000万円(その他の世帯は3,000万円)から、2026年入居では3,000万円(同2,000万円)へと引き下げられました。

また、新築住宅での控除対象のハードルが高くなっている反面、中古住宅を買ってリフォームする方がハードルが高くない傾向にあるように思います。昨今問題になっている「空き家問題」に配慮されているかどうかはわかりませんが、北海道においての住宅の断熱部分にかかわるコストを考えると、新築住宅にこだわらないのであれば中古住宅購入+リフォームも十分選択肢に入ってくるかもしれません。

子育て世帯とは19歳未満のお子さまがいる世帯、若者夫婦世帯とは夫婦のどちらかが40歳未満の世帯を指します。

「住宅ローン控除」の落とし穴

①「借りれる額」と「返せる額」は違うことを理解しましょう。

住宅ローン控除があるからと言って、自身の返済能力を超えて借入することはお勧めできません。

賃貸住宅を借りる場合、手取りの〇%以内におさめましょうという目安があるように、住宅ローンの借入額にも目安があります。

住宅ローンの場合、返済額は「借入額・金利・返済期間」で決まり、賃貸の時の家賃の目安と同程度、すなわち手取りの25%~30%以内に月々の返済額をおさめるようにするといいでしょう。金利を含めたその返済額に年数をかけると借入額の目安が出てきますし、年収ベースですと5倍~7倍程度が無理なく返済できる借入額とされています。それらを目安に、自身の今後の人生設計と照らし合わせ、無理のない範囲内で借入額を検討しましょう。

住宅ローンの組み方の代表的なものとして、「単独ローン」と「ペアローン」などがありますが、単独ローンでは希望の融資額に届かないからと言って、安易にペアローンを組むことはお勧めできません。各ローンのメリットとデメリットを紹介します。

1. 単独ローン(1人で借りる)

最も一般的でシンプルな方法です。
・メリット:契約手数料などの諸費用が1人分で済む。万が一の離婚時にも揉めにくい。
・デメリット:借入額が1人の年収だけで決まるため、希望の予算に届かないことがある。

2. ペアローン(2人で2本のローンを組む)

夫婦それぞれが主債務者となり、お互いのローンの「連帯保証人」になります。
・メリット:2人とも「住宅ローン控除」をフルに使える。2人とも「団信」に加入するため、万が一どちらかが亡くなった場合は、その人の分のローンがゼロになる。
・デメリット:契約が2本になるため、印紙税や事務手数料などの諸費用が2倍になる。

ここで重要なのは、ペアローンの仕組みの中にある「お互いのローンの連帯保証人になる」というところです。

連帯保証人とは、「主債務者(お金を借りた本人)と全く同じ返済義務を負う」ということで、単なる「保証人」よりも圧倒的に責任が重く、法律上は自分で借金をしたのとほぼ同じ状態になります。連帯保証人の責任として以下の権利が認められていません。そのため、銀行から請求されたら拒否することができないことを理解しておきましょう。

連帯保証人の3つの重い責任

・「まずは本人に請求して」と言えない(催告の抗弁権がない)
主債務者がお金を持っているかどうかに関係なく、銀行はいつでも連帯保証人に「代わりに払ってください」と請求できます。

・「本人の財産を差し押さえて」と言えない(検索の抗弁権がない)
主債務者に貯金や不動産があることが分かっていても、「先にそっちを処分して返済に充てて」と主張することはできません。

・「人数分で割った金額しか払わない」と言えない(分別の利益がない)
もし連帯保証人が複数いたとしても、銀行から請求されたら1人で全額を支払う義務があります。

上記のことから、住宅ローンにおける連帯保証人のリスクとして以下のことには注意しましょう。

・離婚しても義務は消えない
万が一離婚して家を出たり、籍を抜いたりしても、銀行との契約はそのまま残ります。元パートナーが滞納すれば、自分に一括請求が来ます。

・自分名義の新しいローンが組みにくくなる可能性がある
連帯保証している金額は「自分の借金」として信用情報に登録されます。そのため、自分が将来別の車や家を買いたくなったときに、審査に落ちる可能性が非常に高くなります。

他にもパートナーが亡くならなくても、収入が無くなったり減ったりするリスクも十分に考えられるので、ローンの組み方や団信の補償内容などを十分検討したうえで申し込みましょう。

②住宅ローン控除は「納めていない税金」は戻ってこない

「年末のローン残高の0.7%が、所得税(引ききれない分は一定額まで翌年の住民税)から、最大13年間にわたって戻ってきます」と前述しましたが、住宅ローン控除は払っていない税金は戻ってきません。

例えば、4500万を借入して住宅ローン控除0.7%控除の恩恵を最大限受けるには、大体年収が600万円~650万円程度以上必要になります。4500万円の0.7%は31.5万円ですが、31.5万円の控除を受けるためには、そもそもそれ以上の税金を納めていないと戻ってこないということです。

また以下の条件によって、さらに高い年収が必要になる場合があります。

・扶養家族(配偶者や子ども)がいる場合
配偶者控除や扶養控除を利用していると、もともとの所得税・住民税が安くなっています。その場合、年収600万円であっても税金が31.5万円に達せず、年収650万〜700万円程度必要になることがあります。

・ふるさと納税やiDeCo(イデコ)をしている場合
これらを利用すると所得税・住民税が下がるため、住宅ローン控除で戻ってくる枠が減ってしまう可能性があります。

「生兵法は大怪我のもと」ではありませんが、ネットやAIに聞いた情報だけではなく、まわりの実際に住宅を建てられた友人や親族などからも情報を集めて制度を十分理解したうえで、無理のない範囲で住宅ローン控除を活用しましょう。

おわりに

家づくりのお金は、「正確に知る」「計画的に貯める」「制度で取り戻す」。この三つを押さえるだけで、選べる家の幅も、暮らしの安心も変わってきます。給与明細も源泉徴収票も、あなたのこれまでの頑張りの記録です。それを味方につけて、思い描いた住まいへ、一歩ずつ近づいていきましょう。

注意事項
本連載の税制に関する内容は、国土交通省・国税庁などの公表情報をもとに作成しています。住宅ローン控除の借入限度額や要件は、入居する年や税制改正によって変わることがあり、ご家庭ごとに適用される内容も異なります。実際に検討される際は、最新の公式情報や、住宅会社・税務署・ファイナンシャルプランナーなどの専門家にご確認ください。

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