家づくりのお金、味方につける
家づくりのお金 vol.1 ── 自分の収入を知る
「いくらの家を建てられるか」は、給与明細でわかる
家づくりのお金、味方につける。
理想の家は、お金の段取りから生まれる。
間取り、外観、素材。家づくりの打ち合わせは、いつもわくわくする話から始まります。けれど、その夢に現実の形を与えるのは、最後はお金です。この連載では、これから家を建てる方に知っておいてほしいお金の話を、全3回でお届けします。
毎月、何気なく受け取っている給与明細。振込額だけを見て、引き出しの奥にしまっていませんか。実はこの一枚に、あなたが「いくら借りられて、いくらなら無理なく返せるか」を知るための手がかりが詰まっています。家づくりの予算は、ここから始まります。
この記事の内容
1. 給与明細は、ただの通知ではない
2. 見るべきは、いちばん下の数字
3. 「年収」「所得」「手取り」は、別物です
4. 一年を一枚にまとめた、源泉徴収票
5. 自分の年収を確かめる、三つの方法
6. 受け取ったら、二つだけやっておく
1. 給与明細は、ただの通知ではない
そもそも給与明細は、会社が従業員に必ず渡すよう、所得税法で義務づけられた書類です。かつては紙が主流でしたが、2007年の法改正以降は、本人の同意があればWeb閲覧などの電子的な方法でも交付できるようになりました。
つまり給与明細は、会社が正しく税金を処理し、適切な報酬を支払っていることを示す「証拠」でもあります。だからこそ、ざっと振込額を見るだけではもったいない。中身を読む価値があります。
2. 見るべきは、いちばん下の数字
給与明細には、主に四つの情報が並びます。会社から支払われる総額(額面)、そこから引かれる税金や社会保険料(控除)、働いた実績(勤怠)、そして差し引いて手元に残る差引支給額(手取り)です。

勤怠の欄は、自分の手帳や勤怠アプリの記録と照らし合わせる習慣をつけましょう。たとえば「15日締め・25日払い」の会社なら、明細に載るのは前月16日から当月15日まで。締め日以降の残業や有給は翌月の明細に回ります。
そして家づくりでいちばん大切なのが、いちばん下の差引支給額(手取り)です。住宅ローンは、額面ではなく、この手取りの中から、何年もかけて返していきます。だから、返済額は額面ではなく手取りで考える。手取りはおおむね額面の75〜85%ほどです。このひと手間が、無理のない予算の出発点になります。
3. 「年収」「所得」「手取り」は、別物です
ローンの申し込みや書類でよく出てくる三つの言葉ですが、意味は少しずつ違います。年収(額面)は、1月1日から12月31日までに支払われた総額で、ボーナスも含みます。源泉徴収票では「支払金額」がこれにあたります。所得は、その年収から会社員の必要経費にあたる給与所得控除を差し引いた金額。そして手取りは、額面から税金や社会保険料を引いて実際に使えるお金です。

4. 一年を一枚にまとめた、源泉徴収票
毎年12月から1月ごろに届く源泉徴収票は、その年の収入と納税をまとめた、いわば「一年の決算書」です。特に次の四つの数字を見てください。
「支払金額」はその年の年収、「給与所得控除後の金額」は年収から経費を引いた額、「所得控除の額の合計額」は社会保険料や生命保険料控除・基礎控除などの合計、「源泉徴収税額」はその年に納めた所得税の総額です。住宅ローンの審査では、この源泉徴収票や市区町村が発行する課税証明書で収入を証明します。紛失しても、勤務先に申請すれば再発行できます。
5. 自分の年収を確かめる、三つの方法
源泉徴収票が手元になくても年収は確かめられます。ひとつ目は毎月の支給額合計を12か月分足しボーナスを加える方法、二つ目は市区町村役場で課税証明書(所得証明書)を発行してもらう方法、三つ目は勤務先に源泉徴収票の再発行を依頼する方法です。
6. 受け取ったら、二つだけやっておく
最後に、明細を受け取ったらセットで行いたいことが二つあります。ひとつは明細の差引支給額と、実際の振込額が一致しているかの確認です。もし多く振り込まれているのに気づきながら黙って使ってしまうと、思わぬトラブルになりかねません。間違いを見つけたら、すぐ担当部署へ連絡しましょう。
もうひとつは保管です。住宅ローン等の各種ローンやクレジットカードの審査では、直近数年分の収入証明として給与明細の提出を求められることがあります。法律上の保管義務はありませんが、いざというときのために5年ほどは残しておくと安心です。
また、各種サイトでのローンシミュレーション等を利用する際でも、入力する金額の精度向上につながりますので、各明細表の言葉の意味を正しく理解して活用するようにしましょう。
次回 vol.2 ──「貯めるだけでは、理想の家は遠ざかる」。インフレ時代にお金が目減りするしくみと、頭金の賢い貯め方をお届けします。
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