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建材深掘り~「燃えない建材を売ることに燃えている」石膏ボードの話① 画像

建材深掘り~「燃えない建材を売ることに燃えている」石膏ボードの話①

建材深掘り

「燃えない建材を売ることに燃えている」石膏ボードの話①

北海道でこれからマイホームを建てようと検討されている皆さま、こんにちは。
家づくりを始めると、キッチンのメーカーやリビングの床材、断熱材の種類など、決めることがたくさんあってワクワクしますよね。

そんな楽しい家づくりの打ち合わせの中で、必ず登場するけれど「地味」すぎて見落とされがちな建材があります。それが「石膏(せっこう)ボード」です。

実は、この石膏ボードこそが、北海道の厳しい冬や万が一の火災から、私たちの家族と暮らしを守ってくれる「壁の中のヒーロー」なのです。今回は、その驚きの性能と秘密について、専門的な視点も交えつつ、わかりやすく紐解いていきます。

  1. 100年以上の歴史が証明する信頼性

    まず、石膏ボードがいつから使われているかをご存知でしょうか。その歴史は想像以上に古く、原料である石膏はなんと紀元前7000年頃の古代エジプトで、すでに建築に使われていた記録があります。ピラミッドの時代から、人は石膏の力を借りていたのですね。


    現代のような「板状」の製品として登場したのは1902年のアメリカですが、日本で初めて製造が始まったのは1922年(大正11年)のことです。翌1923年には、あの有名な帝国ホテルの内装にも採用されました。

    日本の石膏ボードの厚さには「9.5mm」や「12.5mm」といった種類がありますが、これはもともとアメリカで生まれた国際規格(インチ)に合わせているという背景があります。100年以上も前から、日本の建物の安全を支え続けてきた、非常に信頼のある建材なのです。

    1960年代にはいろいろな工業製品の副産物として生成される石膏を利用する等、環境負荷を抑えつつ供給力を強化する技術が確立されるなど、時代に則した供給体制が整えられ、高層建築やマンションの不燃化需要により住宅建築の標準的な内装材として定着していきました。

  2. 「火」に強い!壁の中に隠された「水」の秘密

    石膏ボードの最も重要な役割は、火災から家を守ることです。1995年の阪神・淡路大震災では、地震そのものだけでなく火災による被害も甚大でした。その教訓から、2000年に建築基準法が改正され、より「火に強い建物」が求められるようになりました。そこで大活躍しているのが石膏ボードです。

    なぜ、石膏は火に強いのでしょうか。実は、石膏ボードの中には、重さにして約21%もの「結晶水」が含まれています。これは表面が濡れているわけではなく、化学的に結びついた「水分」です。もし火災が起きて壁が熱せられると、この結晶水が蒸気となって放出され、熱を効率よく吸収してくれます。


    石膏ボードの防火メカニズム:結晶水が水蒸気となり熱を吸収する

    いわば、壁の中に「大量の打ち水」を蓄えているようなものです。この水蒸気が発生している間は、壁の裏側の温度上昇を抑えることができるため、火が隣の部屋や家の柱に燃え移るのを遅らせ、避難する時間を稼いでくれるのです。

  3. 「0.1mm」の妥協も許さない、驚きの品質管理

    日本の石膏ボードの品質は、世界でもトップクラスです。それを象徴するのが、日本産業規格(JIS)で定められた厳しいルールです。石膏ボードの厚さの基準には「許容差」というものがありますが、なんと「(0、+0.5)」と決められています。


    JIS規格の許容差:薄い側はわずか0.1mmでも不合格

    これは、「基準より厚くなる分には0.5mmまで許すが、基準より「0.1mmでも薄いものは失格」という意味です。薄くなってしまうと、火を食い止める性能が落ちてしまう可能性があるからです。この一切の妥協を許さない精度が、日本の住まいの高い安全性を支えています。

  4. 北海道の家づくりにこそ欠かせない「強み」

    北海道という厳しい環境で家を建てる際、石膏ボードにはさらに2つの大きなメリットがあります。

    ① 冬も夏も「動かない」安定性

    北海道は冬のマイナス気温と夏の猛暑で、温度差や湿度の変化が非常に激しい地域です。建材によっては、この変化で反ったり縮んだりして、壁紙にシワが寄ってしまうこともあります。しかし、石膏ボードは「寸法安定性」に優れており、温湿度の変化による変形がほとんどありません。一年中、壁をまっすぐ綺麗に保ってくれるのは、北海道の住宅にとって非常に心強い特徴です。また生産工場が北海道にもあり、「供給」の面でも安定しています。

    ② 施工のしやすさとコストパフォーマンス

    石膏ボードは「乾式施工(水を使わない工法)」が可能なため、効率よく家を建てることができます。切断するのに特別な電動工具は必要なく、文房具のカッターで簡単に切ることができます。釘打ちやビス留めもスムーズに行えるため、大工さんの手間が減り、結果としてお施主様の建築コストを抑えることにも貢献しています。

  5. 札幌などの市街地で建てるなら要注意!「防火のルール」

    北海道、特に札幌市などの街中で家を建てる場合、建築図面に「PC030BE~」といった記号が書かれていることがあります。
    この「PC030BE~」という国の基準を満たすためには、実は内装側に石膏ボードを貼ることがほぼ必須となっています。「どうしても木の質感を出したいから、壁に石膏ボードを貼りたくない」というご要望をいただくこともありますが、そうするとこの防火基準を満たせなくなり、家が建てられないというケースも少なくありません。石膏ボードは、私たちが法律を守りながら安全に暮らすための「絶対的なルール」の一部なのです。

    国の基準としては「PC」の他に、「FP(耐火構造)」「QF(準耐火構造)」などがあり、建物の構造や地域区分によって必要な性能が細かく分けられています。

  6. 生活を快適にする「遮音」のテクニック

    石膏ボードは、音の悩みも解決してくれます。音には「空気を伝わる音」と「物質を伝わる振動」がありますが、石膏ボードはこの「振動として伝わる音」を軽減する力を持っています。戸建て住宅でよくある「2階の足音が1階に響く」「隣の部屋の話し声が気になる」といった問題には、石膏ボードを2重貼りにするのが効果的な方法の一つです。

    プロのポイント

    2重貼りの際に「9.5mmと12.5mmのように、厚みの違うボードを組み合わせる」手法があります。こうすることで、遮ることができる音の幅(周波数)が広がり、より効果的に静かな環境を作ることができます。

  7. 実は「口に入れても大丈夫」なほど安全な素材

    「石膏」と聞くと、なんとなく工業製品のようなイメージを持つかもしれませんが、実はとても身近で安全な素材です。


    石膏は医療・食品・漢方でも使われる安全な天然素材

    口に入れても問題ないほど安全な天然資源由来の素材だからこそ、気密性の高い北海道の住宅で、壁一面に使っても安心なのです。

まとめ:理想の家づくりは「壁の相談」から

普段は何気なく眺めている壁ですが、その中には100年の歴史・21%の魔法の水・0.1mmも妥協しない日本の技術が詰まっています。

北海道でこれから家を建てるなら、ぜひ住宅会社さんに相談してみてください。

こんな質問をしてみましょう

・「この壁の石膏ボード、遮音のために2重貼りにできますか?」
・「空気清浄機能があるタイプ(ハイクリンボードなど)は選べますか?」

北海道で60年以上にわたり建材を見つめてきたプロの知見を取り入れることで、見た目がおしゃれなだけでなく、火災に強く、静かで、家族が健康に暮らせる「本当の理想の家」に一歩近づくはずです。

目に見えない部分にこそ、家づくりのこだわりを。石膏ボードという「壁の中のヒーロー」を、ぜひ味方につけてくださいね。

次回は石膏ボードにいろいろな機能をプラスαした、高付加価値商品をご紹介していきたいと思います。

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